毎週金曜日にお届けする、スタッフの旅にまつわるエピソード。全9回のうちの第4回目となりました。
今回の旅ばなしは仕上げ担当の松村。なんとオーストラリア大陸縦断の旅からイメージしたカラーとのこと…その圧倒的大自然に引き込まれ、すっかりオーストラリアに行った気分になってしまいました!
それではオーストラリア・オレンジにまつわるエピソードをお楽しみください。
仕上げ担当:松村
私が選んだ色はオーストラリアのアウトバック(内陸部の砂漠地帯)の旅で出会った、赤土や自然が作り出すさまざまなオレンジ色から、イメージしました。
念願のオーストラリア大陸縦断
今から約15年くらい前に、ワーキングホリデーで、1年間オーストラリアに住んでました。
その目的のひとつは、キャンピングカーで『オーストラリア大陸縦断の旅』をしたいということ。某TV番組に憧れ、これはどうしてもやりたかったのです。
私は自由な旅が好きなので、ツアーなどは考えず、日本から持って行った『地球の歩き方』を参考にしました。行きたい場所、見たいものをチェックし、その場所へ行くのに最適な時期をまず決めて、大まかな予定を立て、予算を決めて……そんなふうに計画を立てている時がとてもワクワクしたのを覚えています。
出発する日が決まったら、キャンピングカーの手配。英語はあまり話せないので、電話での予約はちょっとドキドキ。こんなドキドキも醍醐味のひとつです。
ちょうどその頃、アデレードという、大陸の一番北の真ん中あたりの町に住んでいたので、そこから一番南のダーウィンというところまで、各地の名所を巡りながら、下から上に縦断することにしました。
レンタカー屋さんのお兄さんに、8日間借りたいと言ったら、「それじゃあ足りないよ、10日は必要だよ。」とアドバイスをくれたので、10日間で旅する事にしました。
いよいよ出発の日!
朝9時に車を予約していましたが、「今掃除中だからちょっと待ってね。」とイケメン店員に言われ借りられたのは11時。さすがオージータイム…
そのころはまだスマートフォンなんて無かったので、分厚い地図とiPod用の安いスピーカーを買い、地球の歩き方を持って、いざ、出発!with my 旦那。
その日の目的地を決めたら、細かいことは決めずそこを目指して走ります。暗くなったら危険なので走ってはいけないと、レンタカー屋のお兄さんからアドバイスをもらっていたので、それは厳守しました。
目的地に着いたら、その周辺で泊まる場所(キャラバンパークという、キャンプ場みたいな所)を探します。その町で食料などを調達して、一泊。貧乏旅なので、もちろん自炊です。
おおーきな空の下で食べる食事とお酒。行ったことの無い、大自然の中でそれを毎日繰り返す。
そんな旅…ワクワクしかない気がしませんか?
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アデレード発 4月 晴れ
アデレードから内陸に向かいポートオーガスタという町まで行く。
そこからダーウィンまで通っているスチュアートハイウェイという一本道。
その道をひたすら進む。
いつのまにか緑が減り、視界が広くなって、どんどん空が大きくなる。
周りに何もなくなる。
ただ、真っ直ぐな道と、大きな空が広がっている。
横を見ると、エミューの追いかけっこ。
牛が行列を作り、カンガルーがピョンピョンしていたり、ラクダがボーっとしていたり…
すぐ横には白骨化した牛や、天然の牛革がそこらじゅうに落ちている。
そんな光景が広がってくる。 〈当時の日記より〉
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大自然を体感する一本道
スチュアートハイウェイの一本道は、ほとんど後続車や対向車はいないので、たまーーにすれ違う対向車が来ると嬉しくてお互いに「Hi!」とあいさつを交わしました。
毎日泊まるキャラバンパークも、それぞれの場所、地域の特徴があって、何故かクジャクだらけだったり、カエルだらけだったり、すっごく景色がキレイだったり。今日はどんなところかなーと想像するのもこの旅の中で見つけた楽しみでした。
クーバーピディ、アリススプリングス、キングスキャニオン、エアーズロック、オルガ岩群、デビルズマーブル、キャサリン渓谷、カカドゥ国立公園などの有名な所も、さまざまなトレッキングコースを歩いて、そこでしか見れない、感じられない、壮大なものを感じることができました。
10日間ひたすら走ったスチュアートハイウェイ。ほぼ何も無い一本道。。。と思いきや、本当は素晴らしさ満載なんです。
真っ直ぐな地平線から昇る朝日、沈む夕日。
どこまでも広がる大きな青い空に、キレイな白い雲。
朝焼け、夕焼けの美しすぎるグラデーション。
とにかく広ーい、力強い大地。
大自然のこんなに素敵な景色を毎日体感させてくれたこの旅は、ほんとに最高でとても貴重な経験です。
私の一番好きなもの。一番好きな事。空を見ること。
私にとって、何より贅沢な時間を過ごさせてもらいました。
旅を終えて…
この旅に出る前日に泊まったバックパッカーズでのこと。同室になった、自転車でオーストラリアを旅している、日本人の男の子が、私たちがこれから内陸に行くと言ったらノートに書いてくれた言葉があります。
『空と大地の広さが心にとける頃、人は人である事を知り、自分は自分である事を知り、そして無限に成長する事を知る。』
彼の言葉なのか、誰かの言葉なのか知らないけれど、旅を終えたとき、少し分かった気がしたました。
自転車の彼に比べたら、雨風防げる車の私たちなんてぬるま湯すぎますが。
このコラムを書くにあたり、日記を読み返したり、写真を探したりするなかで、忘れていた、いろんな事を思い出すことができました。
また、大自然を感じたいなー。
自然にとけたいなー。
オーストラリア・オレンジはそんなアウトバックの旅で出会った、地球のパワーを感じさせてくれるような色を選びました。
オーストラリア・オレンジ